UTMF2012

だらだら書いてたら夏になってしまった。
でも折角書いたので今更ですがリリース。

UTMFについて知ったのは2010年の冬。
2011年5月の開催予定をゴールドウイン本社で聞いた。
鏑木さんが日本で100マイルレースを計画しているのはそれより前に知っていた。
遂に国内でも100マイルとワクワクしたのを思い出す。
でも、2011年は大震災の影響で延期になった。延期は苦渋の決断だったろう。

1年後の今年2012年にようやく開催されたが、調整はすんなりとは行かなかったようだ。
コースは中々発表されず、ようやく発表されたコースは100マイルから短くなり156km。累積標高8500mとのこと。
思っていた以上に舗装コースが増えたと鏑木さんも言っていた。
開催までの苦労は並々ならぬものがあったはずだ。
自衛隊演習場を突っ切るのによく許可が出たものだ。
来年もこのコースで開催されるのか、今は白紙だと思う。
だから大事に走りたいと思っていた。
開催前、試走には2回行っていたのでポイントはわかっていた。
大会当日の天気予報も悪くない。
UTMB姉妹レースと云えど、我々日本人のホーム大会。
エイドには日本食がある。
ほとんどは日本人で走りながら喋る相手に不自由しない。
後は自分がどんなレースをするか、真面目に踏みしめて走ることにした。

リザルト

測定ポイント スプリット ラップ 通過時刻 通過順位
AS1 02:20:32 17:20:32 296
AS2 04:59:13 2:38:41 19:59:13 181
AS3 06:02:25 1:03:12 21:02:25 168
AS4 08:55:19 2:52:54 23:55:19 160
AS5 11:00:33 2:05:14 02:00:33 169
AS6 12:12:20 1:11:47 03:12:20 174
AS7 14:54:15 2:41:55 05:54:15 243
AS8 19:13:50 4:19:35 10:13:50 183
AS9 28:12:12 8:58:22 19:12:12 114
AS10 31:53:25 3:41:13 22:53:25 126
Finish 34:07:36 2:14:11 01:07:36 113

結果は思っていたより悪くなかった。
無事に完走できたことがなにより嬉しい。
全体的に走れたと思うし、トラブルが起こってもまぁまぁ適切に対応できたと思う。
現時点の力ではこんなものだろう。
スタートからの流れを回想してみる。

スタート直前の近藤等則さんのライブはビックリした。
トランペットとドラムとDTMの即興ライブ。青空と富士山と爆音!
実にアグレッシブな演奏でナーバスになっていた自分は目が覚めた。
なんて素晴らしいんだ!!
スタートのカウントダウン直前まで演奏していて、全く空気を読んでいない感も最高に素晴らしい!
そして、15時にスタート、うぉー!

河口湖湖畔道で暑くてさっそく汗だく。
木無山の登りに入ると呼吸は荒くなるが、山の空気はヒンヤリして気持ちいい。
傾斜は緩く無いができるだけ走る。舗装道路を経て直ぐに下りに。思っていた以上に早く山を越えた。
試走したときは深夜で道を間違っていたこともあり5時間かかっていた。
A1エイド2時間20分で到着。混雑している中、うどんを食べた。
アドレナリンが出ているようで興奮状態。味も何も分からない。
周りも似たようなものだ。

町を抜けて林道を進み杓子山へ取りかかる。ここもできるだけ走る。木々の間から見える富士山がキレイだ。
頂上についた頃には暗くなり始めていた。尾根に出ると風があり、気温が下がってきたので上着を着てライトを点けた。
大渋滞するだろうと思っていた下りの岩場。混雑は酷くなかった。
すでに闇夜。小さな集団に入り、テンポよく進めた。

A2二十曲峠ではオレンジ、バナナ、パン等をたくさん食べた。
エイドを出ると石割山への登り。試走の時より足元の状態が良く登りやすい。
昼間であれば頂上から富士山の眺めは最高だが、今は暗くて何も見えない。
石割神社では火を炊いていた。

A3山中湖きららに着いたときには少しバテて座って補給した。
ライトアップされたステージではギター独奏(だと思うが)をやっていた。
止まると冷えた。軽くストレッチしてゆっくり動き出す。
登りへ向かうロードでは何人かに追い抜かれる。
平地は遅いが登りで抜く。
この登りはまだ元気にテンポよく進めた。
尾根道に出た。明るければ、ここからの富士の眺めは最高だが今は星が見えるだけ。
ブナの森に入り淡々と進む。
試走のときに聞いた暴走族の爆音も今は聞こえない。
夜の森は静かだ。
すばしりへのうねうねした下りは小さなライトのマーキングがあり迷わず進むことができた。
が、山を抜け家々が並ぶ辺りでボンヤリと前走者に付いていったらコースアウトした。
エイドの方角は知っていたので、間違えたまま複数人で進んだ。
車からコースじゃないけど、このまま行けばエイドだと教えてもらった。

A4すばしり着。8時間55分経過。
止まると汗で濡れたウェアで冷えを感じる。
仮眠所があった。疲れていたので誘惑に負けそうになる。
スタッフに聞いたら足湯を使ってもいいと言われ、喜々と足を入れたらぬるくて残念。
小さな御札を頂いたが、途中で無くしてしまった。
いよいよ富士山への登り。
まずは、5号目須走口へ至る真っ直ぐなロードを2kmほど登る。
真っ暗で単調な登り。ライトを消して空を見上げると星が沢山見えた。
おもむろに左に曲がり自衛隊演習場へと入る。ざくざくと足にやさしい砂道になる。
両サイドの木々は高く、明るくても見晴らしは良くないようだ。
ここはどのようなコースで、どのあたりを進んでいるのか検討もつかない。迷路のようだ。
たまに、暗い四辻にスタッフがポツンといて道案内をしている。ほっとする。
スタッフは一人の場合が多く、暗闇に立っているのも怖いだろう。
それからはスタッフを見かけるとご苦労様、ありがとうございます、と労うことにする。
砂地を抜けると森に入り登りになった。
あまり利用されていないトレイル。
遠く前方から声が聞こえる。太郎坊が近い。
進むに連れて声が大きくなる。数名が声を合わせて応援している。
未知との遭遇ばりにライトが眩しくい。実に漫画チックな光景だなぁと思った。
何人かわからないが、深夜なのに元気な掛け声の応援には本当に感動した。

A5太郎坊に到着。時刻は2時。11時間経過。
エイドは少し混雑しいてて、スタッフも慌ただしく動いていた。
テント中のストーブ近くに腰を降ろす。
毛布にくるまっている人がいた。
少し寒かったので温かいカップラーメンが嬉しかった。
カップラーメンをくれたオネーさんが美人で元気が出た。
おにぎりもいただく。
長居をしないで冷えきる前に太郎坊を出た。

水ヶ塚公園まではアスファルトの緩い登りが続く。
睡魔がきてフラフラと蛇行しはじめた。
道路の黒いシミから何かがニョロニョロ出ているのが見える。
夢か幻覚かわからない。元気がなくなり歩いて進む。
風は無いが山の冷気に包み込まれて歩くとさらに冷えた。

A6水ヶ塚公園には3時12分に着。
疲れて冷えていた。眠い。
温かい水餃子におにぎりを入れて食べたが、半分しか食べれなかった。
テントに入り、リックを下ろし毛布を被り横になる。
汗で濡れたままなので毛布だけでは寒かったが少しだけウトウトできた。
4時ごろ明るくなり初め、テントの外では富士山が美しいとの声が聞こえたが、横になったままやり過ごした。
1時間半ほど横になった。
起き上がってみると眠気は取れてスッキリしていたが、体は冷えていたので動き出しは辛かった。
空は明るく、雲がまったくなかった。
富士山が美しい。
ゆっくり動き出す。こどもの国への道はくだり基調なので助かった。
徐々に体が温まり、気温も上昇しているようで、再び快適に動けるようになった。

A7こどもの国に6時少し前に到着。
ようやく半分。
エイドで、おにぎり、豚汁をいただく。
不注意で豚汁を少し足にこぼしたが、豚汁が気にならないほど汗と泥で汚れていた。
預けていた荷物を引き取り、ストックや後半用の補給物をバッグに詰める。
サポート無しの選手はここから後半の荷物を背負っていくことになる。
次のA8西富士中学校エイドまでは26km。A8からA9本栖湖までは27km。
エイド間がもっとも長く一番厳しい区間。
UTMFは後半が前半よりもハードだ。後半のほうが荷物は多くなる。
疲れた肩に荷重がこたえる。

こどもの国を出ると林道に入った。
ここが今回の大会で一番気持ちよく感じた。
林道を抜け溶岩がゴロゴロ転がるところを抜けると、送電塔の作業道?を下っていく。
道は下り基調だが時折谷があり階段を下って再び登るのに骨が折れる。
朝なのに日差しが強く気温も上がって暑い。
北山WAを過ぎたあたりの木陰で座り込んで補給。

A8西富士中学に10時前に到着。19時間経過。
焼きソバを食べて仮眠しようと日陰で靴を脱いで横になるが、うまく寝れなかった。
結局1時間ほど休んで出発。
山に向かう道で応援してたおばあちゃんと写真に写る。

天子山地に取り掛かったのはお昼前。
日差しが強く暑かったが山に入ると木陰で助かった。
ここからストックを利用。
暗くなる前に山々を越えておきたかったので登りも飛ばして登る。
試走のおかげで先々の感じがつかめストレスを感じなかった。
途中チームのDさん、Kさんに出会う。
前半飛ばしすぎたのでゆっくり行くそうだ。先に進む。
尾根までの登りは足に堪えたが休まずに進んだ。
尾根道ではガスが出て展望は良くなかった。残念。
下りはツルツルな部分が多く、足を取られ何度も尻や手を付きトレイルを傷つけてしまった。
足先の痛みも出ていたので下りはゆっくりになってしまう。
でも、全体的に調子は上向きのようで思った以上にサクサク進めた。
後発のSTY選手が猛烈な勢いでやってきた。道を譲る。
熊森山に水ボトルが積み上げられていた。どうやって運んだのか聞いたら、麓から1時間半かけて運んだそうだ。恐れ入る。
ありがたく水を頂戴した。
山々の合間にはテントを装備したスタッフが配置されており、声をかけてくれて安心。
心配していた毛無山斜面の残雪は全く無く気持ちの良い道が続いていた。
竜ヶ岳を越えて下りだすと暗くなってきた。
要所は何とか越えたので安心してライトを点灯しゆっくり下る。
下ってスポーツセンターまでの道中、振り返ると山々にライトが続いているのが見えた。

A9本栖湖スポーツセンター19:12着。A8からのラップは8時間58分。悪くない。
センターはSTY、UTMFの選手、応援者、スタッフの人々で混み合っていた。
スパイスの効いたカレーとスープを食べた。暖かい食事が嬉しい。
仮眠スペースで横になる。少し冷えたのでヒータ近くに陣取る。
調子が悪いと休憩されていた招待選手Oさんと少し話す。
少し寝ようと思ったが寝付けなかった。
出かけようとすると、この時間にゴールして風呂ってあったっけ?仮眠所あるのか?と言う話が聞こえてきた。
スタッフに確認するとゴール後の風呂有無、仮眠所の有無はわからないと言う。
STYに参加していたチームのKさんに出会い相談してみた。
何とかなるでしょ!とのこと。
結局、風呂問題で1時間ほどマゴマゴしていたが、なんとかなるさと出発。

闇夜の樹海を進む。昼間であれば綺麗なコースに違いない。
前後には人が多いので迷うことは無い。
しかし力が入らずペースが上がらない。
富士ウルトラ100kのコースでもある緩い上り道が走れずに歩いてしまう。
弱っていた。
時間は十分にあるので歩いていてもたどり着くさとのんびり進む。
STYに参加しているチームのKさんに追い抜かれる。まだ元気そうだ。

AS10鳴沢氷穴着22:53。31:53経過。順位は126位。
ここまで来ればもう完走は見えているので安心していたが、ホトホト疲れていた。
エイドにてエナジードリンクを配っていたので、2本いただきジェルと一緒に飲んだ。
これが効いた。
何の成分か不明だが不足していたものが補われたようで、めちゃくちゃ元気になった。
で、走った。
ごぼう抜き。
坂を走って登るとSTY選手が「えっ?」と後ろで言っているのが聞こえた。
チームのMさんに追いついた。Mさんは目を真っ赤にして眠そうだった。
ロキソニンが頭にきてボーっとしていると言っていた。
本栖湖らしきものが見えたが中々近づかない。
1時間以上元気に走ったが、化学燃料が切れてきたようで段々とペースが遅くなる。
が、もうすぐだと言い聞かせ、最後の気力で下りも走りきり湖畔におりた。
気持ちいい。
ゴールは直ぐだし、空気がヒンヤリしていて静かだ。
余韻に浸りながら進む。
足先が痛んだので、あえて草むらを走る。
しかし、中々たどり着かない。何故かとても長く感じた。
明るい場所が見えてきた。ゴールは近い。
先に進むUTMF選手は全て追い越してきたが、ここに来て一人追い抜けない人がいた。
追いついかれたことに気がつくと猛烈にスピードで行ってしまった。
自分にはそんな馬力はなかった。
深夜、ゴール地点の人出は少ないが、
それでも応援してくれる沿道の数人にお疲れ様と言われ笑顔(多分)で応えた。
Finish 34:07:36 113位
時刻は深夜1時7分

完走ジャケットをもらって椅子に座り込む。
チップを回収されて水を少し飲んでしばし呆然とした。
うれしさはあまり無かった。
今は、ただただ風呂に入りたかった。
荷物を受け取り風呂について聞くと、あの信号を左に行ったら数百メートル先と教えてくれた。
よろよろと歩いていくが場所が分からない。
風呂を通り過ぎてコンビニで場所を聞くと、ずっーと先に24h風呂があると教えられる。
よろよろとコンビニを出ると、すでにゴールしてさっぱりした人があっちだよと教えてくれた。
戻ってようやく風呂に辿りつき入湯。生き返る。水風呂でアイシング。
缶ビールを飲んで混雑してる大座敷中に場所を確保し横になるもうまく寝れない。
ツイッターで上位陣の状況を確認。自分の結果もツブやく。
優勝は日本人じゃなかったことが残念に感じた。
STYに出ていたチームのBさんHさんに遭遇。
しばし立ち話。
朝がきてゴール地点に行ってみた。
次々にゴールに向かう人達をボンヤリ眺めた。
知人を探す気力も無くタクシーでバス停に移動し高速バス→電車で帰宅した。
そしてたっぷり寝た。

100マイルは何度走っても辛い。
苦しくて止めたいと思うことが特に後半は度々起こる。
でも喜怒哀楽、起承転結がレースごとに色々で面白い。
何故だか生きていることを実感するし、日常の有り難味も感じる不思議な時間。
山がますます好きになっていく。
大会じゃない山にも行かないと。