スパルタスロン惨敗記

もうすぐ灼熱のギリシャから3ヶ月が過ぎようとしてしている。
とにかくあっと言う間に終わったスパルタスロン。
何だったんだろうか、未だに整理できない。
結論から言えば、力不足だった。
UTMFもUTMBも完走できたから、なんとかスパルタもいけるだろうとなめていた。
レオニダスさんごめんなさい。
本当に欲しいので取りに行くぐらいの覚悟がなければ取れないものだった。

淡々と経緯を思い出しながら振り返る。

前夜はホテル空調の調子が良くなく、室内には蚊も飛んでいて寝付けなかった。
寝れないことには慣れているので平気。

4時ごろ起きて準備したと思う。記憶が少し抜けている。
5時頃にバスに乗り込んでスタート地点に移動。
日が昇る前で暗い。まだ少し涼しい。
すでにアドレナリンが出まくっている人が沢山い。
自分は記念撮影や再会に盛り上がっている人々とは少し距離を置いて落ち着いて準備する。

7時スタート
そらが空け始めて、薄青い空間の中を進む。
大理石の下り道をしばらく進み道路に出る。
まだ集団は大きく、お祭り騒ぎと共に進んでいく。
車道はランナーのために全て通行止め。
渋滞がいたるところで発生してクラクションは頑張れと鳴らしてるのではなく、お前ら何なんだよ!と聞こえる。

アテネ市内の道は整備されて走りやすい。
少し坂道を登って大きな道路を横断して、大きな幹線道路沿いを海の方向へ進む。
途中で野良犬が沢山いた。ついてくるやつもいた。
ここでも凄い渋滞を生み出していて申し訳ない気持ちになった。
8時すぎると朝日がサンサンと当たりだし暑くなってくる。
道路は車が多く空気は排ガスがキツイ。
眺めも良くなく気がめいってくる。

最初の荷物を預けていたCP4に到着。
基地が近いのか軍人さんがたくさんいた。
たいして疲労もしていないけど、予定通り補給物を取る。
エネルギードリンクとジェル、メダリスト。
時間を確認すると予定通りの制限時間の20分前。
やっぱり時間が厳しいのでそそくさと進む。

しばらく進むと、子供たちが沢山待ち構えていた。
ハイタッチして挨拶。
街を抜け製油工場前を通り坂道を登ると美しいエーゲ海が見えた。
このあたりで足に疲れを感じておかしいなと感じる。
名物の座礁船が見えた。

海がキレイなのに暑さが厳しくなってきたのと、足が重いので気分は沈んできた。
道沿いには日陰はほぼない。
暑さがしみる。
小さなアップダウンが堪える。
おかしいな?いつもならこんなの余裕なのに?
坂道も歩きが入るようになる。
足が重い。

海岸沿いのCP10にフラフラになりながら到着
預けておいたドリンクやジェルを無理やり詰め込む。
ヒヤロンは荷物につぶされてすでに使用済み、使い物にならなかった。
少しでも涼しさが紛らわされると期待していたが残念。。

だらだらと先に進むと嘔吐した。
さっき詰め込んだものを全部吐いてしまった。
大丈夫か?と声をかけられる。
返答できない。
ヤバイ、痺れている。脱水。。
早すぎるなぁ、まだ100も進んでいないのにこんなで大丈夫なのか?と少し笑ってしまった。

とにかく先に進むが、走りに力が無く抜かれることが多くなる。
CP13で補給物を詰め込むも、すぐ後にまた嘔吐。
今度は胃薬補給後に嘔吐した。
効き目を発揮する前に終了。
激しく何度も嘔吐した。
胃が痛いがスッキリしたので少し楽になる。
日差しが強く、熱が体にこもりだした。
エイドの水を体にかけるが焼け石に水。
スピードは上がらず歩きが多くなる。

CP17ではとうとう座り込む。
エイド横に座り水を体にかけ続ける。
頭から足先まで満遍なく水をかけるが熱がこもってボンヤリしている。
かなりグロッキー。
多くのグロッキーランナーがやってきては、何とか先に進んでいく。
関門が迫っているので自分も何とか進もうとするが調子は改善しない。
歩く。手の平が熱い。手に熱がこもって濡れた服に手をあてて乾燥を防ぐ。
完全に熱中症。

小さな売店を見つけた。コーラを購入。
お金を払おうとするとコレはプレゼントだからいい。と可愛い店員さんにおごってもらった。
冷えててうまい。
一気飲みして少し元気になって進む。
が、まったく焼け石に水でフラフラとしたまま。

暑さがこたえる。日差し以上に体内にこもった熱がどうしょうもない。
とにかく水をかけ続けなければならないのだが、水が無い。
売店を見つけては1.5lの水を購入し頭からかける。すぐになくなる。
何本購入しただろうか?手持ちの小銭も少なくなってきた。

左を見ると浜辺が見えた。ビーチにはシャワーがあるはずと道を外れて海に向かう。
だが、シャワーは無かった。キレイな海に腰まで入りぬるい海で冷やすもあまり効果は無い。
コースに戻り先に進む。
前に日本人ランナーを見つけて話す。
熱いですね。
熱いですね。
初めてなんですよ、スパルタスロン。いつもこんなに酷いんですかね?
初めて?今回初めてならババひきましたね。去年はこんなに熱くなかったですよ。もう少しましでした。
そうですか、関門あぶないですよね。
もうだめじゃないかな。
そうですか。。。

フラフラとCP18に着いた。
スタッフに制限時間オーバーだからここで終わりと言われる。
少しホッとする。
嘔吐してフラフラだけど体調は少しよくなっていたので、
残念だけど仕方ないとポジティブに考えれるところまで改善していた。
しかし、よくなっていると言っても酷い、ぶっ倒れてピクリとも動けないよりはマシというところ。
四頭筋やハムストがピクピクしていまにも攣りそうだ。脱水症状が原因か。
熱中症と脱水。典型的な夏の病気。
こんな経験前にもあったなぁ、オクムだ、オクム。
あの時も嘔吐した。でも嘔吐して改善してさくさく走れた。あの時は。
でも今回はちっとも改善しなかった。
暑さに対応できなかった。
塩分が足りてない、準備が足りてない。弱すぎる。

座り込んで水をくれというと、エイドは撤収してて水は無かった。
近くの民家からホースの水をくれたけど体にかけるだけで、飲みはしなかった。
回収バスに行くとすでに沢山のランナーが乗っていた。
やっと乗れた感じ。
それなりにみんなボロボロだけど、酷くなる前に回収されたのだろう、何となくみんな元気そうだ。

バスは最初の大エイド、コリントスに向かう。
多くのランナーが日陰の無い道をコリントスに向かって進んでいる。日差しが容赦ない。
コリントスは多くのサポータやランナーで混雑していた。
チームのサポータにダメだったことを告げてバスに戻り、ゴール地点のスパルタへ向かう。

スパルタで指定されたホテルにチェックイン。
まさかこんなに早くリタイヤするとは想定していなかったのでたいした荷物を持ってきていなかった。
失敗である。
簡単な着替えと少ないお金のみの所持品。
とりあえず洗濯して寝た。

しばらくすると、リタイヤしたドイツ人がやってきて少し話しをしてまた寝た。
夜に起きて近くのレストランで食事してビールを飲んでまた寝た。
たいして走っていないのに非常に疲れていた。
なぜだかものすごい筋肉痛。

翌朝TOPの選手がゴール。
2位の日本人選手も着た。
そこからリタイヤしたチームメンバーと合流し午前中から反省会。
そして昼寝。。
夕方に起きて何人かのチームメンバーのゴールに立ち会う。
みんなボロボロだがいい笑顔だ。
歓喜。

夜にはチームで打ち上げ。
昼から飲みすぎ食べすぎで、美味しいのにあまり進まない食事。
疲れているメンバーがいるので軽めでお開き。
2次会になってそこも軽めで終了。

次の日は使わなかった大量のドロップバックを引き取りに近所の体育館へ行く。
荷物が大量すぎて重すぎて半分ほど廃棄。
それでもまだ重くて身に堪える。
昼にはバスで移動して谷間の素敵なレストランでスパルタランナー全員での野外宴会。
ここの食事も美味しかったが、場所が暑かった。
近所の用水路でアイシングしたら気持ちよかった。
宴会終了後、バスに乗り込んでアテネに移動、就寝。

次の日は、のんびりと島観光に行った。
夜にようやく表彰式。
ライブハウス貸切でなかなか盛大だ。
だが、自分は盛り上がらない。馴染まない。
リタイヤしてる身としてはそんなものなのだろう。
すねた子供のように歓喜に参加できない。

翌朝、日の出前からホテルの裏山に向かって走った。
低い山だが、山の向こうに山があり、付近で最も高い山の頂を目指した。
日の出を見て登り続けること3時間。
下り道を変更したこともあり遠回りしてしまう。
ボトル1個しか持たず苦しかった。
でも苦しいのが気持ちよかった。

ホテルに戻りシャワーを浴びた。
日本から持参したレトルトカレーとご飯を食べたらめちゃくちゃ美味しくて
ギリシャで売ったら絶対はやると思った。

その日の午後にホテルをチェックアウトして
ギリシャを後にした。
そして僕のスパルタスロンは終わった。

最初のチャレンジではたった67kmしか進めなかった。
でも何故かそんなに悔しくは無い。
自分の限界を越えたレースだった。
別の日に同じコンディションでレースを走ったとしても完走できる自信は全くなかった。
自分は暑さに強くないことだけはわかったけど、どうすれば対処できるのか分からなかった。
距離を積むだけではダメだと。
暑さや寒さにも対処できるようにならなければ走れない大会があることがわかった。
やらなければならないことが多いと感じたスパルタスロンだった。

2013年大会には参加しないと思う。
まだまだ完走するには力不足だ。
でもどうすればいいんだろう?